dangerous zone





右手のお菓子と左手のお菓子。
手に入れられるのは一つだけ。
そんな、簡単な選択なら良かったのに。






「dangerous zone」






右手の道と左手の道。
進めるのは片方だけ。
選択肢は右の「ア」か、左の「イ」か。
さぁ、どちら?





答えは一つ。
どちらも選べます。
そう問題文には書いてあるのに、みな、口を揃えて「ア」にしなさい、と。
望むのはそちらではない。
私にとっての正解ではない!
そう、私の信念が違うと言っているのに。




「イ」の道に進もうとすると、道を外れようとすると、諫める声はまるでけたたましいサイレン。
そっちは違う。
危険な場所、正しくない選択、選ぶなんて愚の骨頂。







最初は網の目のように分かれて伸びていた道も、もう目の前にたった二つ。
いや、もう1つ、小さな小さな抜け道が。
だがそれは、夢のように朧気で、砂糖菓子のように甘く脆い。
決して、選ぶことの出来ぬ道。




耳を打つのは、非難と抗議と言う名のけたたましいサイレン。
そっちは駄目だと、こっちへ行けと鳴り響く。
どんなに耳を塞いでも。
突き刺さるようなサイレンが、頭を、身体を支配していく。







…もう。
たぶん、これしかないんだ。








ごめんな。
そうして彼女は、足下の小さな小さな道を通り過ぎた。
ちかりと輝く、赤い心を残して。












2008.3.8 後書き改訂
二人の結婚話は個人誌参照。
どうせなら結婚してくれるといいな、と個人的には思っているんですが。ナチュラルとコーディネイターのためにも。キラとラクスのためにも(この二人は結婚しなさそうだから)


お題配布元
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