それは酷く鮮やかな、





目も眩むような真紅に染まった世界で、君は一人立っている。





何もかもが赤に潰された中で、ただ一人白く白く、ありのままの姿で。




どうして、と君は泣く。
誰も傷つけたくない。
傷ついて欲しくない。
抱えた命を守るためなら、その身を真紅に染めることすら厭わないのに。
君にはそれすら許されない。




引金を引いてしまえば楽になる。
だからこそ、引かぬことが戦い。





目を逸らすことも許されない君は、傍らで、目の前で、抱えた命が真紅に染まる瞬間を。
真紅に染まったものがこの赤い世界に沈んで行く瞬間を見守り続けている。
白い横顔に、滂沱と涙を流しながら。





君を庇って、またもや誰かが真紅に染まり。
声を嗄らして嘆く君を、またもや誰かが庇って沈む。





共に堕ちると叫ぶ願いは、連なり重なる声にかき消え。







『貴方はそのままでいて下さい。
汚れず、汚さず。落ちず、落とさず。
ただ、前だけを。上だけを。

目指し続けて下さい』








白い頬を涙が滑る。
それは酷く鮮やかな、赤い涙。
浴びることのない汚れの代わりに、君が負った覚悟の色。





俺に出来ることがきっとあるなら。


いつでも、何でもするから。


隣にいるから。








君の笑顔が、ふわりと綻ぶ。
覚悟の色をその身に纏い。






それは、酷く鮮やかで。
瞼の奥に、焼き付いて離れない。











アスカガは赤系の色、ってイメージがあります。
似合う色、とは別にね(笑)
実際、二人にそれぞれ似合う色の公倍数は、黄緑かなぁって思いますが。

2005.10.2


お題配布元
「Color title <red>」