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ハロウィン=水の民のお盆みたいなもの、という設定でのお話です。
特に、CPに重点を置いた話はなし。全7話。


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「ねーねーセネセネ〜、支度終わった〜?」
 名前を呼ばれて顔を上げると、窓の外は薄暗闇。紫と赤と青の溶けた陽が、遺跡船の端に沈む。
「ああ」
「ほんじゃ、おっ邪魔っしまーす♪」
 ほんじゃ、とかなんとか口では言いつつ、扉の外の声は彼の返事がある前から、当然の如くドアノブを掴んでいる。ドアを壊さんばかりの勢いで入ってくるのは、スキップ混じりのノーマである。その後ろには、ひねた顔のジェイが続いている。
「おー、いいじゃんいいじゃん、似合う−」
 脳天気な声で、ノーマがぱちぱちっと手を叩けば、ジェイが深く頷く。
「ほんとですね、よく似合ってますよ、セネルさん」
 扉を開けるなり、いつもと変わらぬ調子で口々にコメントした16歳コンビを、セネルは思わずまじまじと凝視した。
「…なんか、すごい格好だな、二人とも」
「なにおー!セネセネだって似たようなもんじゃん」
「そうですよ。それに、ノーマさんはともかく、僕はたいしたことありません」
 そう言って、ジェイはつんっと顎を背けた。こういう時のジェイは、十中八九拗ねている。そんなジェイを笑って眺めて、セネルはノーマの姿をまじまじと見る。
「ノーマは、何だっけ」
「バンシー」
 続いて、ジェイに目を向ける。
「ジェイは?」
「ゴブリンです」
 ぶすっと言ったノーマに、不服そうなジェイ。二人には悪いが、大して違わないな、と仮装した二人を見下ろして笑いがこみ上げる。
 真っ白な、腰ほどまであるぼさぼさのかつらをかぶったノーマは、これまた裾も腕も長い、青白いローブドレスを引っ被っている。
 一方ジェイは、わざわざ何処かで汚したらしい泥だらけのチュニックとシャツ、皮のベストも擦り切れたぼろぼろのもので、極め付けは頭に被った山高帽。
 普段の二人からしたら、想像も出来ない姿だった。
「つーかこれでもマシだったんだから!他の着替えはなんだと思う!?ミイラ男に人造人間に座敷わらしに腐った死体だよ!バンシーがマシに決まってんじゃん!」
 かつらから覗く顔と、その声でようやくノーマとわかるバンシーが叫ぶと、白い肌を泥で汚し倒したゴブリン・ジェイがしきりに頷く。
「まったくです。僕なんて、セイレーンに赤ずきんに、天使と悪魔に魔女ですよ。ゴブリンがマシに決まってます」
 どきっぱり。16歳コンビの声が揃う。ぷっと、吹き出すセネルの前で、ジェイの台詞を聞いたノーマが血相を変えた。
「えー!何でジェージェーのは女ばっかなのよ!」
「それは僕の台詞です」
 何で、僕がこんな目に…。いつものように、ジェイがぼやいた。
ぎゃあぎゃあ言い争う16歳コンビを前にして、


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